「変形性膝関節症と診断されたけど、してはいけないことってあるの?」
「最近膝の痛みが気になるし、普段の生活で気をつけることを知りたい。」
そんな方に向けて、変形性膝関節症の方がしてはいけないこと、日常生活で避けたいことについて紹介します。
ぜひ参考にしてください。
間違った動作は注意!
変形性膝関節症でしてはいけない運動とは?
間違った運動や動作を行うと、変形性膝関節症の症状を悪化させる原因になります。
身体に良い、と思ってやっている運動が逆効果の場合もあります。
変形性膝関節症の方は以下のような運動は避けましょう。
- 誤ったフォオームでのスクワット
- 過度なトレーニング
- 膝に痛みを感じながら行う運動
- 急に動いたり止まるなどが多い激しい運動
誤ったフォオームでのスクワット
変形性膝関節症の方が誤ったフォームでスクワットをすると、症状を悪化させる原因になります。
膝を深く曲げすぎたり、内側に入った状態でスクワットを行ったりすると過度な負担がかかります。
スクワットをする場合は正しいフォームで行うことが大切です。
過度なトレーニング
変形性膝関節症の対策として適度な運動やストレッチは勧められていますが、過度なトレーニングは避けましょう。
ウォーキングもやりすぎは膝に負担がかかります。
膝に負担のかかりにくいやり方で、適度にトレーニングするようにしましょう。
膝に痛みを感じながら行う運動
適度な運動を勧められたからといって、膝に痛みを感じながら運動するのはやめましょう。
無意識に痛みをかばい、正しいフォームが維持できず膝に負担がかかったり、炎症がひどくなったりする原因になります。
座ったまま行えるトレーニングやストレッチなど、できる範囲で行うようにしましょう。
急に動いたり止まるなどが多い激しい運動
急に動いたり止まったりする動きは、膝に過度な負担がかかります。
激しい運動は、変形性膝関節症の症状を悪化させる原因になるため控えましょう。
してはいけないスポーツの具体例は以下の通りです。
■急に動いたり止まったりすることが多い運動
野球
サッカー
テニス
バスケットボール
スキー
日常生活から気を付けたい!
変形性膝関節症で控えたい動作
日常生活で何気なく行っている動作が、実は変形性膝関節症に悪影響を及ぼしている場合があります。
変形性膝関節症の方が控えるべき日常動作について紹介します。
膝の痛みに悩んでいる方は、以下のような習慣に気をつけてみてください。
- 正座やあぐら
- 和式トイレ
- 長時間の立位や歩行
- 飲酒や喫煙などの習慣行動
①正座やあぐら
変形性膝関節症の方は正座やあぐらの体勢は控えましょう。
膝を深く曲げた状態は関節に負担がかかります。
床から立ったりしゃがんだりする動きも膝に負担がかかるため、椅子に座るなど負担が少ない体勢を選ぶのがおすすめです。
②和式トイレ
変形性膝関節症の方は和式トイレの使用は避けるのがおすすめです。
しゃがんだ状態は膝を深く曲げる動作になるため、負担がかかります。
もし自宅のトイレが和式の場合は洋式に変更するのが良いでしょう。
③長時間の立位や歩行
長時間立ちっぱなしや歩くことは、変形性膝関節症の方がしてはいけないことの一つです。
特に膝が内側に入った状態は負担が大きく、症状を悪化させる原因になります。
内股になりやすい方はサポーターなどを使用しましょう。
④飲酒や喫煙などの習慣行動
飲酒や喫煙も変形性膝関節症の症状を悪化させる原因になります。
アルコールは軟骨の弾力性を低下させたり、タバコはコラーゲンの生成に必要なビタミンCを減少させたりします。
普段の生活習慣にも気をつけることが大切です。
変形性膝関節症の方は避けたい仕事
膝に負担がかかる動きが多い仕事に就いている方は、変形性膝関節症の症状が悪化しやすいです。
以下のような仕事は変形性膝関節症の方は避けたほうが良いでしょう。
仕事を変えることは簡単ではないかと思いますが、参考にしてください。
- トラックやタクシーの運転手
- コンビニやスーパー店員
- 重い荷物を運ぶ引越し業者
- デスクワーク(冷房が効いている部屋)
- 外を歩き回る営業
①トラックやタクシーの運転手
トラックやタクシーの運転手は、アクセルやブレーキを踏み込む動作を繰り返すことで、右膝の曲げ伸ばしが多く負担がかかります。
MT(マニュアル・トランスミッション)車であればクラッチの操作も加わるため、左膝にも影響があるでしょう。
②コンビニやスーパー店員
コンビニやスーパーのレジをする場合、長時間立ちっぱなしの状態になります。
立ちっぱなしは変形性膝関節症の方がしてはいけないことの一つとして挙げました。
また品出しなどで重い荷物を扱ったり、立ったりしゃがんだりといった動きも多く膝への負担を避けられません。
③重い荷物を運ぶ引越し業者
引越し業者は重い荷物を運ぶため膝に負担がかかります。
積み下ろしや階段の昇り降りなど、膝に負担のかかる動作を多く必要とするため、変形性膝関節症の症状を悪化させる可能性が高くなるでしょう。
④デスクワーク(冷房が効いている部屋)
長時間立ちっぱなしも避けたいですが、長時間座りっぱなしも変形性膝関節症の方にはおすすめしません。
膝が冷え、血行が悪くなることも考えられます。
ブランケットなどで膝を温めたり、合間に少しでも体を動かしたりすることが必要です。
⑤外を歩き回る営業
外を歩き回る営業の仕事は、長時間歩くことで膝に負担がかかります。
革靴やヒールなどで長時間歩くことで、変形性膝関節症の症状を悪化させる原因になります。
歩く間はウォーキングシューズなど、歩きやすい靴を選ぶと良いでしょう。
変形性膝関節症はどんな人に多い?
原因やなりやすい人の特徴!
変形性膝関節症になりやすい人の特徴を4つ紹介します。
以下のような原因で変形性膝関節症を発症する場合が多いです。
なりやすい人の特徴に当てはまっている方は日頃から注意が必要です。
- 老化や加齢による影響
- 肥満の方
- 激しいスポーツをしている人
- 遺伝
老化や加齢による影響
加齢によって膝に負担が積み重なっていたり、膝を支える筋力が衰えたりすることで変形性膝関節症を発症することがあります。
変形性膝関節症になる原因としてポピュラーなものの一つが加齢です。
肥満の方
肥満の方は体を支えるため、膝により大きな負担がかかります。
歩いたり、階段を昇り降りしたりする時には体重以上の負担がかかります。
特に急激に体重が増えた方は変形性膝関節症を発症する可能性が高くなるでしょう。
激しいスポーツなど膝に過度な負担をかけた
激しいスポーツをしている人は、普段から膝に負担がかかっているため変形性膝関節症になる可能性があります。
先ほど挙げたサッカーや野球などのスポーツを日頃から行っている方は注意が必要です。
遺伝
変形性膝関節症になりやすい原因として遺伝の可能性もあります。
近年、変形性膝関節症と遺伝子との関係性が認められつつあります。
解明のため研究が進められていますが、親族に変形性膝関節症を罹患している方がいる場合は注意が必要ですね。
変形性膝関節症を自力で治す方法ってある?
治療法を解説!
変形性膝関節症を自力で治すことは難しいです。
先ほど紹介した日常動作や運動などを気をつけることは、変形性膝関節症の症状を緩和させたり、進行を遅らせたりするうえでも大切です。
ただ、正しいトレーニング方法や痛みの緩和など、膝の状態に合わせた治療を行うために専門医の受診をおすすめします。
変形性膝関節症の治療方法として以下のようなものがあります。
- リハビリ療法
- 装具療法
- 薬物療法
- 装具療法
①リハビリ療法
正しいリハビリを行うことで膝まわりの筋力を強化し、日常動作の困難や痛みの改善が期待できるでしょう。
具体的にはストレッチや筋力トレーニングを一人ひとりの状態に合わせて行います。
主に膝周辺の筋肉を鍛えることで、膝にかかる負担を軽減させます。
変形性膝関節症の治療法として重要なものの一つです。
②薬物療法
変形性膝関節症で行う薬物療法は鎮痛剤や湿布を使った治療です。
痛みを軽減させる目的で行われます。
また膝関節にヒアルロン酸を注入する治療法もあります。
ヒアルロン酸は軟骨や関節内の関節液の成分の一つです。
ヒアルロン酸を注入することで膝関節の炎症を抑えたり、関節の弾力や滑らかさを回復させる効果を期待します。
③装具療法
変形性膝関節症の装具療法として足底板(インソール)を使用したり、膝のサポーターを使用したりする方法があります。
足底板を使うことで膝にかかる体重の角度を変え、膝への負担を軽減。
サポーターを使うことで動きを支え、痛みの軽減が期待できます。
自己判断で市販品を使用するのではなく医師の指導のもと装具を使用するようにしましょう。
④手術療法
変形性膝関節症の症状の具合によっては手術が必要になることがあります。
ここまで紹介したリハビリ療法や薬物療法、装具療法などで症状が改善しない、また日常生活に支障をきたしている場合は手術を検討します。
具体的には「関節鏡視下手術」「骨切り術」「人工関節置換術」などが挙げられます。
手術を受けることで痛みの改善が期待できます。
変形性膝関節症
5つの予防対策!
治療を受けて症状が改善されても、膝に負担のかかる生活を続けていると、再び膝の痛みに悩まされることになるかもしれません。
変形性膝関節症の5つの予防対策を紹介しますので参考にしてください。
- 正座はできる限り避ける
- 減量して膝への負担を抑える
- 生活・仕事上でできるだけ重いものは持たない
- 洋式トイレを使用する
- 大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)を鍛える
①正座はできる限り避ける
正座は膝を深く曲げた状態を維持する姿勢のため、膝への負担が大きくなります。
膝に負荷がかかる状態を続けると、変形性膝関節症の症状を悪化させる原因になります。
また正座など直接床に座る体勢の場合、立ち上がる時に痛みを感じることもあるでしょう。
普段はなるべく椅子を使うのがおすすめです。
②減量して膝への負担を抑える
体重を減らすことで膝の負担を抑えることができます。
変形性膝関節症になりやすい人で肥満の方を挙げましたが、体重が重いほど膝への負担は大きくなります。
減量することで膝への負担を抑えられますが、一時的ではなく減量した状態を保つことが大切です。
その結果、変形性膝関節症を予防する効果が期待できるでしょう。
③生活・仕事上でできるだけ重いものは持たない
重いものを持たないようにすることで膝への負担が減少します。
日常生活で重いものを持たないというのもなかなか難しいかもしれませんが、少し気をつけるだけでも予防効果を期待できるでしょう。
年齢を重ねるとともに変形性膝関節症を発症する可能性が高くなるため、なるべく重いものを持たないようにすることが必要になってきます。
④洋式トイレを使用する
洋式トイレを使用することで膝への負担を軽減します。
和式トイレの場合、膝を深く曲げる体勢になること、しゃがんだ状態を保つ必要があることが変形性膝関節症の症状を悪化させる原因になることを紹介してきました。
普段から膝に痛みを感じやすい方は、洋式トイレを使うようにすることで予防につながるでしょう。
⑤大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)を鍛える
大腿四頭筋を鍛えることで膝の動きをサポートする力がつきます。
大腿四頭筋とは太ももの筋肉のことです。
太もものトレーニングとしてスクワットが有名ですが、先ほど紹介した通り正しいフォームで行うことが重要になってきます。
スクワットよりも難しくなく、座ったままできるトレーニングもありますのでできる範囲で鍛えるようにしましょう。
変形性膝関節症に関するよくある質問
変形性膝関節症について解説してきましたが、疑問や不安が出てきますよね。
よくある質問に回答していきます。
ここで紹介していない内容で、少しでも疑問や不安に感じたことは専門医を受診し相談しましょう。
変形性膝関節症はどんな人に多いですか?
変形性膝関節症は高齢の方、肥満の方、膝への負担が大きい仕事に就いている方に多い疾患です。
またO脚の方は膝の内側に負担が集中するため、変形性膝関節症を発症しやすくなる原因の一つです。
遺伝も影響すると言われており、家族に変形性膝関節症を罹患している方がいる場合、注意が必要となるでしょう。
女性は変形性膝関節症になりやすいですか?
女性は変形性膝関節症になりやすいです。
女性が変形性膝関節症になりやすい原因として以下のようなものがあります。
- エストロゲンという軟骨の形成に必要なホルモンが閉経後、減少するため
- 男性よりも筋肉量が少なく、膝の軟骨に負担がかかりやすいため
- 膝が内側に入った姿勢になる方が多く、体重の負担が偏りやすいため
膝が痛い時はウォーキングしない方がいいですか?
膝の痛みを我慢しながらウォーキングをするのはおすすめしません。
痛みをかばいながら歩くことで膝への負担が大きくなり、変形性膝関節症の症状を悪化させる原因にもなります。
ストレッチや、座ったままできるトレーニングで痛みを感じない程度に体を動かすようにしましょう。
何もしなくても痛みを感じるような場合は、安静にしておくことをおすすめします。
変形性膝関節症で運動は禁止ですか?
サッカーや野球、テニスなど激しいスポーツはおすすめしませんが、適度な運動はむしろした方がいいでしょう。
変形性膝関節症の予防にも改善にも、筋力をつけることは重要です。
ウォーキングや水泳など、膝に負担がかかりにくい運動であれば積極的に行いましょう。
ただし、痛みがある場合は無理に運動するのはやめましょう。
変形性膝関節症は再発する可能性はありますか?
現在、変形性膝関節症は完治させることはできません。
進行の防止や症状の改善を目的に治療を行うため、「痛みがなくなり日常生活を快適に過ごせるようになる」ことは可能です。
そのため再発というよりは、再び痛みを感じるようになることは起こりえます。
変形性膝関節症の症状を悪化させないためには、普段から膝に負担をかけない生活習慣を送ることや適度な運動が大切です。
変形性膝関節症でしてはいけないこと
まとめ
変形性膝関節症の方がしてはいけないことは、膝に過度な負担をかけることです。
加齢による筋力やホルモンの減少は避けられませんが、今回紹介したような動作や運動に気をつけることで予防や症状の改善につながることもあります。
ただし膝に痛みを感じた場合は、まずは専門医を受診して正しい治療を受けるようにしましょう。